7月22日 日曜日 入院45日目 術後37日目
土曜、日曜はリハビリが休みなので、時間をもてあましている。そこで、旦那に頼んで文庫本を数冊買ってきてもらった。仕事をしている時は、小説を読むということが、物理的に無理だったが、今は有り余るほどの時間がある。
長編小説も何の抵抗もなく読み始め、三日で読破。今、読後の余韻に浸っている。ちなみに本の題名は東野 圭吾の「白夜行」。これははまります。読み終わった後の満たされた思いはテレビでは得られないものだ。
そういえば、姪浜の横山さんが、「ハードボイルドだけど・・・・」と言って持ってきてくれた新宿鮫シリーズも夢中で読んだ。あれこれ20冊ぐらいはもう読んでしまったかもしれない。
仕事中心の生活をしていて時間にゆとりがなく、小さな文字を読むことを最初から敬遠していた、今までの自分を思い返す。入院しているこの時間は、本を読むことのおもしろさを再確認する時間なのかもしれない。
7月25日 水曜日 入院48日目 術後40日目
リハビリ室で今日から二分の一荷重の松葉杖歩行訓練開始。先週より少しだけ荷重を重くしているが、足底部の痛みが取れない。右足だけ体重移動をせずにペタペタとした歩き方にならざるを得ない。
7月26日 木曜日 入院49日目 術後41日目
リハビリ室で担当PTから訓練を受けていたら、笑顔で近づいてくる人がいる。なんと、連携している訪問看護事業所の理学療法士さん。
なんで?とびっくりする。「この病院に担当している利用者でも入院しているんですか?」と聞くと、私の見舞いだという。病院の理学療法士と在宅での理学療法士が目の前にいる。思わず二人を紹介してしまった。
7月27日 金曜日 入院50日目 術後42日目
術後6週目終了。骨が接合するのにだいたい8週間かかると言われている。もう少ししたら私の骨折面も修復できるのだろうか。
CTをとったので、それをプリントしてもらうように主治医に頼んだ。今のCTは3Dで本当に鮮明に映っている。関節面は相変わらずガタガタだ。移植骨をチップにして、陥没した部分に埋めただけのようだ。あんなにガタガタな関節面だから、将来変形性膝関節症になるでしょうと宣告された言葉が現実味を帯びてきた。
CTをよく見ると、2本のスクリューを骨折部位に通しているのだが、2本目のスクリューの先端が5mmほど突き出ているのがわかった。私は以前から膝の内側が痛いと訴えていたが、そのたびに、主治医は骨折は外側ですと返事していた。だから、「じゃあ、この痛みはきっと気のせいなのですね。」と言い返していた。
「この突き出ている部分が痛んでいるんじゃないですか?」とM先生に尋ねた。
「いや。スクリューの先端はこのあたりですから・・・・」といいながら、膝の内側を親指で押した。
ギャー!!と悲鳴を上げる。そしたら、主治医が言った。
「気のせいじゃないかも~・・・・」とにっこり笑いながら部屋を出て行った。おい、いいのか?それで?
本日午後のリハビリはきつかった。二分の一荷重になったものの、体重をかけるのが怖くて、ほとんど荷重をしていなかった。そこで、担当PTはスクワットを指示したのだ。これなら否応なしに右足にも半分の体重がかかる。
数回スクワットをしただけで、私の右膝はガクガクと震えだした。
「膝が笑っています!」とPTに訴えた。
「まだまだトレーニング不足です。もう少し続けて。」とすまし顔。
先が思いやられるなあ・・・・・
7月28日 土曜日 入院51日目 術後43日目
同室の患者さんは、みんな70代。私が暇があるごとに小説を読んでいると、近寄ってきて、
「うわあ!!こんな小さな字がよく見えるね。えらい、えらい。私は絶対読めんよ。」と褒めてくれる。
そうか。私が本を読むことに抵抗がなく、字も見えるのはあと10年あまりということか・・・・そのあとは読みたくても見えなくなるんだあと再認識する。今、読書する楽しさを発見したことを喜ぼう。
入院したことを不運なこととしてとらえていたが、今後は入院してよかったことを数えていこう。でなければ本当に鬱になってしまいそうだ。
7月29日 日曜日 入院52日目 術後44日目
昼下がり、ウトウトしていたら、社長と山下さんがきてくれた。日曜だというのに、またまたデイサービスの打ち合わせだそうだ。一瞬で私のテンションが上がる。社長が新社屋が完成まじかだと力説する。
じゃあ、見に行こうかとなって、初めて無断外出した。まだ、建築材料があちらこちらにあり、松葉つえを突きながら室内を歩くのに緊張した。どっかにひっかかって転倒でもしたら、大目玉だ。
でも、今まで話を聞くだけで想像するしかなかった新社屋のイメージが現実となった。9月になったら、この新社屋で働けるようになるだろうか・・・・。
つづく
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