本日3時に携帯電話がなる。かねてより意識不明で入院中の利用者の息子様だ。知的障害がある。
「宇野さん!今病院から電話があって、お袋の息がとまりそうだからすぐ来いって!!宇野さんもすぐ来てください!」
はいっ?!今は夜中の3時だぞ。睡眠も1時間足らずしかとっていない。
でも、彼の他に親族は誰ひとりいない。たったひとりで母親の臨終を看取り、書類の手続きをするには不安がある。意を決して、身じたくを整えた。物音に気付いた旦那が目を覚ました。今から病院までいってくるからと告げると、
「ふふん。漫画の『ヘルプマン』そのままだね。気をつけて。」と送り出してくれた。
暴走族がけたたましい音をたてながら車の横を通り過ぎる。ハラハラドキドキしながら病院へ急いだ。私が付いた時は逝去されて20分が過ぎていた。が、まだ身体も温かい。私の姿をみた息子様が号泣する。
事前に葬儀社に相談していたので、スムーズに霊柩車が迎えにきた。そのあとを追って、葬儀社についた。そこで葬儀の内容についての説明を受け、書類を記入する。自慢じゃないが、葬儀の手続きをしたのは生まれて初めてだ。葬儀社の係員が言う。
「他のご親族はあとから見えますか?」
「いいえ。親族は彼だけです。」 「・・・・・」
火葬を彼一人で立ち会うにはあまりにも切ない。だから、火葬時間は私のスケジュールに合わせて私も立ち会うことにした。
ケアマネとして逸脱した行動ではあるが、そうさせてしまう何かが私を突き動かす。訪問介護のスタッフも同じ思いだ。素直な息子様。ケアワーク九州を身うちと思っている息子様に応えたい。
宇野 恵子