脳出血のため、突然意識不明となった利用者。二日前に訪問した時は、手足を微動だにせず、呼びかけても何の反応もなかった。
本日訪問介護事業所の稲垣管理者とスタッフと一緒に再度病院を訪れた。二日前はかなり予後は厳しくあと2~3日が山でしょうと説明された。ところが、本日病室に行くと、右手をゆらゆらと動かしている。ほっぺたを触ったり、空中で手を広げる動作をしていた。最後のお別れのつもりで見舞ったのだが、明らかに回復している。もちろん意識はなく目をかたく閉じたままであったが・・・
3人は、代りばんこに耳元で語りかけた。無意識の動作なのかは不明であったが、声をかけると手を動かすように感じた。そして、稲垣管理者が声をかけたあと、けげんそうに私たちを振り返って言った。
「涙が流れてる・・・・」
えーっ?!と思い、顔を覗くと確かにひとすじの涙が頬を伝っている。私たちは、顔を見合わせ、声にならない声をあげる。
聞こえてる!私たちの声は確かに聞こえてる!
宇野 恵子
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