デイサービスが本当にあちらこちらに設立されている。ケアマネがデイサービスを選んで利用者に紹介するからか、ケアプランサービスに一日いたら、なんとまあ次から次へと営業ラッシュ・・・・
一人ひとりにきちんと対応していたら、それだけで時間がなくなってしまう。
そんな中、スーツをビシッと着た人が訪ねてきた。ハンサムで色白だが押しが弱い。話を聞けば、全国展開している会社の営業部とか・・・・
「福岡に転勤になったばかりで、よくわからなくて・・・」
「前はどこにいらしたんですか?」
「東京です。」
「出身は?」
「東京です。」
へえ~・・・・介護業界でも全国展開している会社は違うね。きっとこの人は、デイサービスの業務なんてやったことはないんだろう。ただただ自分の会社が運営するデイサービスの利用者が増えたらいいと飛び込み営業しているんだ。物売りと一緒。
かと思えば、先日はジャージを着た若者二人連れ。無精ヒゲをはやし、およそ営業マンとは思えないむさくるしい姿形。全国に急速に増えているデイサービスチェーンだ。
「今度○○にデイサービスを開設します。よろしくお願いします。」
「えーっ?!また増えたんですね。すご~い。よく空き家を次々見つけますねえ。」と感心することしきり・・・・
そんな中、明日開業するというデイサービスを見学した。既存の住宅だったが、それは目を見張るような素敵な住宅だった。日本庭園が広がり、畑もつくれそうな広い庭。バーベキューだってすぐに出来そうだ。ゆったりした空間でトイレだけで畳3畳はある。リビングは総ガラス張りで庭が見渡せる。ほとんど手を加えていないという。平屋でこれだけの広さなら、私が自宅として住んでみた~い!と思えるような素敵なデイサービスだった。見学に行ってよかった。管理者にズバズバ聞いた。
「これだけ立派な家だったら、賃貸料高いでしょ?20万円以上?」
「はあ、そうですね。高いんです。」
「利用者は何人か決まった人いるんですか?」
「いや、たった一人です。」
「これだけの空間があって家賃も高いのに、小規模で10人というのは、採算度外視ですね。今、あっちこっちにデイサービスが乱立しているから、定員になるまで時間かかりますよ~」
管理者は頭をかきかき不安そうな顔をしている。いかん、いかん。私は利用者に紹介できるかどうか見学にきたのであって、経営なんたらを言うなんて、いらぬお世話だった。
ケアプランだってそうだが、多くの介護事業所にとって、要介護状態の高齢者は金の卵。奪い合いを余儀なくされる。
宇野 恵子