私たちケアマネージャーは高齢者が生き生きと生活できるように支援することが仕事です。そして私のように居宅のケアマネは、在宅でくらしてある高齢者を援助しています。在宅で一人暮らしの人もいれば、子供などと同居されている方もいます。最近つくづく感じることがあります。それは、子供は育てたように育つんだなあ・・・ということ。
ある利用者は、要介護5で認知症もあります。時々大きな声で歌ったりされます。娘様と同居されていますが、髪がかなり長いので、ある時知識をひけらかし、「訪問理容を頼みましょうか?」と提案したことがあります。すると、「いいの。こうしてね、毎朝髪をすいてあげて、編みこみとかね、かわいらしい髪型にするととても喜んでくれるのよ。」と言われました。毎日献身的に介護されています。いつも愛おしいものを見つめるような眼で母親をみてらっしゃいます。介護負担が増さないようにショートステイ、デイサービス、訪問介護や訪問看護などを上手に組み合わせて、いつまでも自宅で過ごしたいと願ってらっしゃいます。いつか「すごいですねえ。こんなに献身的には誰もできませんよ。」というと、話してくださいました。「私がね、離婚して傷ついて帰ってきたときにね、何も言わずに温かくむかえてくれたの。今はその恩返し・・・」要介護5だから、それはそれはお世話も並大抵ではないと思います。高齢者虐待は親族の方が多いというのに、こんなに愛情を持ってお世話されている姿に頭が下がります。
そしてもうひとりの利用者。認知症がひどく判断力はほとんどありません。でもいつもにこにこされていて、私たち介護スタッフを和ませてくれます。私もその利用者に会ったらやさしい気持ちになれます。しかし、家族の支援や協力はあまり望めません。なんでも、若い頃は、飲む、打つ、買うのどーしょうもない父親だったらしい。子供というのは、幼いころの記憶を忘れることがありません。忘れるどころか、今でも憎んでいると言います。だから、父親がどーなろうと知ったことか・・・になるのです。悲しいけど、これが現実。
子供が自分という親をどう思っているか・・・・?それは、自分が高齢者となり、人の手を借りなければ生きていけなくなった時に、子供がどんな接し方をしてくれるかで判断できます。その時に、しまったと思っても子育てはやり直せませんねえ・・・・怖いなあ。
翻って、わが娘。「お母さん、ぼけんでね。ぼけたら施設にいれるよ。」と今から宣言されています。村瀬孝生さんのように、『ぼけてもいいよ。』とは言ってくれそうもありません。ああ、やっぱり私も子育てをまちがえたのかしらん・・・・?
宇野 恵子
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