先日、私が担当しているALSに罹患している利用者の外出を行った。
もう、ALSの末期である。人工呼吸器、胃婁をつけ、手足は微動だにしない。唯一残存していた表情筋の動きで本人の感情が伝わっていたが、最近その表情も乏しくなったと家族が寂しそうに話した。
外出は、2年前から年に2度ほど行っている。ずっとベッドに寝たきりの利用者にとって、たった1年に2回だけ、外の空気に触れる機会があるのだ。訪問診療所の医師二人と看護師、訪問看護の看護師、そして家族4人とケアマネ。わずか1時間ちょっとの外出に随行員は10名を超える。これまでに花見、美術館、大堀公園などに行った。
さて、今回はというと・・・・季節がら、紅葉狩りでしょう!
武富クリニック院長自らが、バッテリー付きの人工呼吸器を肩にからい、車いすを押してなごやかに利用者に話しかけている。訪問診療が専門とはいえ、すごいなと思う。訪問看護師が気管切開部から手際よく吸引を行う。
紅葉がきれいな公園につき、記念写真に興じる。動きの悪くなった筋肉を必死に動かし、利用者が笑う。ご家族からコーヒーが振舞われ、ほっと一息つく。もちろん、利用者には胃婁からポカリスエットが流し込まれた。今回も事故なく利用者の外出が実現し、利用者や随行員たちは満足して帰ってきた。
そんな話をあるケアマネに話したら、予想だにしない反応が返ってきた。
「自分なら行きませんね。ちゃんと線引きします。」
線引き?何の?
確かにケアマネは吸引するわけでもなく、別にその場にいても何の役にも立たない。ただ、利用者や家族と一緒に外出する喜びを味わいたいだけだ。
それは、ケアマネとして一線を越えているということか・・・・・?
それなら私は喜んで超えよう。その線とやらを!
宇野 恵子
Okay I'm cnoivnced. Let's put it to action.
投稿情報: Dilip | 2013年4 月29日 (月) 16:34