私も年をとったらこんな風になりたいなと思う利用者がいる。現在87歳。足が悪いものの、頭はいたってクリアーだから、要支援1からピクリとも動かない。若い頃はさぞかし美人だったろうなと思うくらい、素敵な笑顔をみせてくれる。話ぶりも上品だ。
包括から委託を受けているが、要支援が長いため、「包括に引き取りましょうか?」と言われた。私は、
「可愛いから、私が担当続けます。」と返事した。(こんな理由でいいのだろうか・・・?)
そんな利用者の現役時代の仕事は小学校の教師だ。訪問するたびに、その頃の話や今も教え子との交流の様子を楽しそうにされる。
ある時、テーブルにきれいな花が飾ってあった。「わあ~、きれいですねえ。どうしたんですか?これ?」
「うふふ。教え子がね、誕生日おめでとうって持ってきてくれたの。教え子と言っても、もう70の爺さんになっているんだけど・・・・うふふ。」と、いたずらっぽく笑う。
去年、ご主人を亡くされて、その悲しみが長く続いた。大きな家に一人ぼっちとなった先生を心配し、教え子がよく電話してくれるそうだ。
「元気にしてますか?今度○○君と飲む約束をしているから、先生も来てね。」
60歳になっても、70歳になっても、小学校の先生と交流しているその教え子達に、まず感心する。私はこの年になって、いや、もっと若い頃から、「先生、元気?」といって電話する相手はいない。
この利用者が、教師をしているときに、生徒にどんな接し方をしていたかが容易に想像できる。
そして、気付いた。利用者が話す教え子たちって、ほとんどが男の子・・・・(当時は)
その男の子たちのマドンナだったんだ。きっと。なんにせよ、素敵な話だ。
宇野 恵子