要支援だった利用者の認知機能が低下し、介護の手間がいるようになったため、もう少しサービスが使えるよう認定の区分変更申請を行った。
ところが、認定調査が終わり、一か月以上たっても新しい介護保険証が届かない。しびれをきらして、区役所に問い合わせた。返事は「医師の意見書がまだ届いていないものですから、審査会のめどもたっていません・・・」と担当職員が申し訳なさそうに言う。
そうこうしているうちに、今度は、その利用者は転倒し、肩関節の脱臼骨折をしてしまった。認定調査後の受傷だし、意見書も届いてないしと、前回の申請は取り下げた。骨折を治療した医師名を書いて、さらに、区分変更申請をするために、区役所に向かう。すると窓口職員が、またまた気の毒そうにいう。
「ああ、○○先生ですか・・?この先生も意見書をなかなか書いてくれないんですよねえ・・・。」
はあ~って感じだ。そんな先生の尻をばんばん叩いて意見書を書かせるのが、あんたらの仕事じゃないの?!と思ってしまう。
いつだったか、医師会の地域医療を推進しているというドクターの研修に参加したことがある。その医師がのたもうた。
「僕のところにも、ケアマネさんが時々来て、この患者さんの在宅生活についての意見をもらいたいなんて言ってくるけど、僕たち医者は、病気を治すのが仕事であって、在宅生活をなんたらいわれても、困るんです。そもそもケアマネさんと面談しても一銭にもならないんですよ。」
介護保険行政は最近、医療との連携をしなさいと声高に叫んでいる。しかし、地域の医師の認識はこの程度。意見書を書くのが遅れたら、高齢者にどんな影響があるかなんて考えもしないのだろう。私たちに医療との連携を求める前に、行政が医師の認識を変える努力をしているのかと聞きたい。
もちろん、在宅チームにとても理解がある医者もいることを付け加えたい。ALSの利用者がいよいよ退院という時に、病状と今後の方針を説明するので、家族とケアマネさん、来ませんかとソーシャルワーカーから連絡されたこともある。面談時に、「サービス事業所全部を呼んで、担当者会議を病院で行いたいので、その時にも先生ご出席いただけませんか?」という私のお願いに快諾された先生。当日は、在宅訪問診療の医師までそろい、大人数が食堂に集まった。
「わあ!すごいですね。こんな大人数は久しぶりだ・・・」と言いながら、熱心に各部門からの質問に答えてくれた。病状の深刻さがあったとはいえ、これこそが、在宅生活における医療連携だよとしみじみ思ったこともある。
在宅チームの熱心さはすごいよなあ・・・・。日々、訪問看護や訪問介護、通所介護スタッフからの報告を受ける。その報告内容を吟味し、いかに上手に調整することが出来るかが、ケアマネの手腕、そして醍醐味なんだと思う。
ケアマネは、考える人なのだ。
宇野 恵子